シネマ: おおきな妻の愛に包まれた夫たちの物語
一見したところでは計り知れない夫婦の絆。いわば長きにわたる運命共同体とでもいえるのだろう。「このオトコの影にこの妻あり」な3編をピックアップしてみた。
■『英国王のスピーチ』
今春には新たなロイヤルカップルが誕生する英国王室。現女王の父、ジョージ6世を主人公に描いた秘話「英国王のスピーチ」が世界的賞レースなどで注目を集めている。恋のため王冠を捨てた兄エドワード8世の話は有名だが、その一方で予期せぬ展開に悩める王の存在を知っている人はどれほどいるだろう。内向的な弟ジョージ6世(コリン・ファース、
Colin Firth)は幼少時より抱えていた吃音を克服するため、明るく最強のサポーターである妻(ヘレナ・ボナム・カーター、
Helena Bonham Carter)、そして1人のスピーチ矯正の専門家(ジェフリー・ラッシュ、
Geoffrey Rush)とともに挑むことになる。果たしてその効果のほどは…。
■『さくら、さくら 〜サムライ化学者 高峰譲吉の生涯〜』
昨年の日本人ノーベル化学賞受賞により日本の化学の功績が再認識される中、その歴史をさかのぼるとある偉人の名を知ることになる。2012年に迎える「日米桜寄贈100周年」の立役者でもあった化学者、高峰譲吉。彼を主人公に描いた「さくら、さくら」は、1人の男が真剣に夢に向かう姿と、彼の情熱を信じ助力する友人たち、そして何よりも公式では初の日米国際結婚となる妻の信念ある思いが印象深い。家業の医者への道に背き、「多くの人の命を救いたい」と願った彼の発明は、現在の医学に息づいている。
■『ファンタスティックMr.FOX』
ジョージ・クルーニー(
George Clooney)とメリル・ストリープ(
Meryl Streep)の夫婦役に、ビル・マーレー(
Bill Murray)…と名だたる出演者なのだが、実はなんと1秒間に24コマ撮り(本編87分)というパペットによるストップモーション『ファンタスティックMr.FOX』。監督はウェス・アンダーソンと聞けば納得する方も多いのでは。小学生の頃に出合った原作「すばらしき父さん狐」の映画化を夢見た少年は本作でついに実現。主人公のMr.FOXは家族思いが高じて、妻との誓いを破り泥棒家業に復活し、事態は最悪な状況に陥るというコメディー。注目すべきは器の大きなMrs.FOXの言動かも。ちなみに実写同様のスタイルで撮影に挑んだという本作のメーキングフィルムはぜひ見てみたい。